この太刀は佩き表の茎に長光と銘があります。はばきのすぐ下、茎の鎬地上の方に朽ち込んではいますが長光とあります。
長光は光忠の子で、備前長船鍛冶の嫡系であり偉大な存在です。この太刀は小太刀と呼ばれるもので永仁、正安頃、今から
約700年位前の鎌倉末期の時代に僅かに見られるものです。長い太刀の差添にしたものか、若小の大将などの佩刀を目的にした
などの説がありますが明らかではありません。
本作は優美な腰反りの姿で中切先、佩き表のはばき上に梵字の痕跡、佩き裏に剣巻き龍の彫りを施します。小板目良く詰み映り立つ地鉄に、匂い深く小沸付く直刃調に所々互の目を交える刃文を焼きます。帽子は少し湾れて掃き掛け焼詰め調となります。現状は研ぎ上がりですが、所々時代の小傷、佩き裏の中程、刃中に二箇所傷があります。また、銘の朽ち込みが惜しまれるものです。しかしながら直刃調の作風より長光の晩年作と鑑せられる一振りであり、地刃の出来良く彫刻が冴える資料価値高い一振りです。
【種別】小太刀
【長さ】64.2㎝
【元幅】2.7㎝ 【先幅】1.6㎝
【形状】鎬造り 庵棟 中切先
【刃文】匂い深く小沸付く直刃調に所々互の目を交える
【茎】生在銘 鑢目不明 栗尻 小丸棟
【登録】平成20年佐賀登録
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